KOSODEの魂

寸法

初期小袖の寸法を調べると、
あまりに身幅が広いのに驚かされます。



永禄九年 辻が花染小袖小袖

制作年代がはっきりしていて、
後年、仕立替えがないのは、男性用(武士)の小袖です。

女性用小袖は年代が定かでなく、
そのほとんどが、後世の寸法に仕立替えも行われているので資料としては不確実なのです。


永禄九年小袖実測図

永禄九年(1566年 戦国時代)の小袖の記録によれば、
後巾 1尺(37.8p) 前巾 1尺(37.8p) おくみ巾5寸8分(21.9p)
というとんでもない巾になっています。

現代男紋着物実測図

ちなみに、現代着物の標準的な身巾は、
後巾 7寸8分(29.5cm) 前巾6寸2分(23.5cm) おくみ巾4寸(15cm)
となり、胴回りの長さの単純比率は、
現代着物を1とすれば、永禄小袖は、1.43になります。

実際に、この寸法を自分の身長に比例して計算し、小袖の制作をしましたが、
まさしく「大風呂敷をまとう」で、
これを着こなすには、さすがにちょっと時間がかかりました。
とにかく広いのです



永禄九年同寸法小袖(カルサン袴

小袖には、空気をまとうほどの
広いスペースが必要であったのでしょう。


身巾が広いからと言って、
この時代の人がすべて太っていたと言う事はまずありません。
もちろん、下の肖像画のようにガッチリ体型の人はいても
肥満の人は、少ないでしょう。
現代人とは食べる物は違うし、
なんと言っても、明日は生きるか死ぬかの戦国時代なのですから。



辻が花の小袖を着た戦国武将

下の画像は、この永禄九年小袖寸法をもとに
大学の卒論制作の為に、
私同様に、自分の体型と比例して作ったものです。
ゆったりして、相当広いのがわかります。
楽そうですね。

   

永禄九年 同寸小袖 (手紡手織やまもも染/鉄)

しかし、このままの寸法だと
これに慣れない現代人には、とても動きづらい。
特に、戦後のキッチリ着付けを刷り込まれた方が多い女性には
小袖とのギャップは大きく、男性以上に至難の業になります。

そこで、このエッセンス(魂)を生かし
現代人でも簡単に楽に着れるように、改良を加えました。

それが、KOSODEなのです。



正絹草木染手描きKOSODE

KOSODEの寸法は、
概ね現代着物と初期小袖の中間をいくもので、
それぞれの特徴をとりこんでいます。


身巾   初期小袖>KOSODE>現代着物 
 裄  現代着物>KOSODE>初期小袖
 袖つけ 初期小袖>KOSODE>現代着物
 身丈  現代着物>KOSODE=初期小袖
 褄丈 現代着物>KOSODE>初期小袖 
 袖口  現代着物>KOSODE=初期小袖
 身八口 現代着物>KOSODE  初期小袖なし 
 おくみ下  現代着物>KOSDOE>初期小袖
衿肩明  現代着物>KOSODE>初期小袖



KOSODE


KOSODEは、初期小袖は肩から裾までほぼ平行に広いのに対して
裾にゆくほど狭くする 逆三角形方式をとっています。



着物生活から離れてしまった現代人にとって
広い裾をさばく事は難しいように思います。



立姿美人図 明暦〜寛文初期

裾さばきがうまくできないと 足が前にでません。
その点、▽の方が機能性が断然増します。


着方

JIBA0(襦袢)は深く打ち合わせますが
KOSODE
は空気をまとうように着て、衿は甘く打ち合わせます。



空気を抜くのではなしに、空気を中に含ませて着ます。
衣と体をできるだけ離し、解放させます。



日本人は夏は高温多湿、冬は寒い風土を応じる為に
この「空気」を うまく利用しました。



夏は、風を通すことにより 放湿による気化熱で体を冷やし
冬は 空気を止めて その断熱効果を利用しました。



また、布と体との空間があると、それが遊びとなり
当然、体も楽で、動かしやすくなります。




衿合わせはゆっくりなので、懐は大きなポケットになります。
この余裕こそ大事なのであって、
衿先はひっぱる必要は全くありません。




衣紋は女性でも、くらずに自然に羽織ります。
小袖の歴史でも衿をくるようになるのは、
髷が結うようになる江戸中期以降です。




帯の位置は、女性は現代着物よりずっと下の位置になります。
男性は現代とほぼ同じと言っていいでしょう。



力点は帯の下線を腰骨において結ぶので、
腹部は解放させることができます。




帯巾は 江戸の中期から明治末期ごろまで、少しづつ広くなりますが
帯を締めるポイントは
男女とも腰骨にあったことは変わりませんでした。

女性の帯の位置があがったのは、
洋服の影響を受けだした大正の頃からです。

生きていた着物

     
伝 坂本龍馬・夫人
(幕末か)
 加賀前田家・子女
(明治初年)
 大久保利通・夫人
(明治初年)

現代着物と大差ない構造ですが、現代とは着方が違います。

欧米の価値観が入って来る前の日本人は、
ウエストのくびれがなくても、全く気にしなかったようです。

   
 鎌倉時代  江戸初期

しかし、
「ウエストはより細く、足はより長く」
の欧米人の美的価値観に縛られるようになってから、
文字通り 胴を縛り、圧迫し、足を長く見せる努力を続けます。

   
 19世紀の欧米女性  華族・明治16年(1883)

食べ物や生活様式も洋風化したおかげ?をもって
昔ながらの日本人とは、体型が少しづつ変わってきました。

   
 明治末期  昭和8年

現代にいたっては、
体に密着・圧迫させるボディコンファションブームなども経由し、
欧米人に匹敵するほど、バスト・ウエスト・ヒップのメリハリがある人が
増えたといえるでしょう。

ただ、この変化は、古来よりの日本の風土に根ざした
空気をまとって、腰で着る
着物にとっては、極めて問題がありました。

ウエストとヒップの落差が大きいと、帯が腰で固定せず
せりあがってしまうのです。

それに対して幕末の写真を参考にし
帯をクロスした結びをすれば 解決するのでは 提案いたしております。



これは、包帯腹帯の巻き方と同じで
曲線に布を巻く場合 帯をはすかいに交差させると 
ズレが解消する原理です。

帯を腰骨で固定することは、整体上,
腰痛防止や血液の還流促進にもプラスに働きます。

ところが、腰より上の位置から胸下までの位置に
帯やベルトなどを強く締めて圧迫すると、
様々な疾患や障害が起こる可能性を
専門家から指摘されています。



川村一男 和洋女子大学元教授 資料から

人体で、あばらから腰骨までは守るべき骨格がありません。
この骨なしの柔らかい部分を
圧迫すると、内臓に影響がでるのは当然と言えるでしょう。

帯の位置が、腰骨の上にあったのは、
実は大変重要な意味があることだったのです。

KOSODEには、一切の補正の必要ありません。
小物は腰紐1本でOKです。

もちろん生地をひっぱって着る必要もありません。
きものは平面を立体に起こす構造上
風呂敷と同様にシワが出来るのは当たり前で、
それがドレープとなり、絵画のような美しさにつながるのです。

「きもの」は空間こそが命

これは、いかに時代を経ても決して忘れてはいけないと思います。

生地

現在のきものは生地が重すぎて(上等すぎて?)、
このドレープができにくい状態であることは否めません。
曲線の美しさが「きもの」の大きな特性の一つなのに、
戦後、生地が重ければよいという風潮になってしましました。



雪持柳揚羽蝶文様繍小袖 安土桃山時代

このような豪華な刺繍をしているからその生地は
さも上等で地厚であったかと一見思うのですが、さにあらず。

初期小袖の生地は、練貫(ねりぬき)と言って、
ハリはあるけれど、極めて生地が薄いものでした。
各地の博物館で、初期小袖の生地を
ガラスに張り付いて、よく見てください。

その生地は透けるような薄さです。

逆に軽い生地でないと、広い巾の小袖をまとう事はできなかったと言えます。
地厚で、しっかりした生地でこの寸法で再現すると
ゴロゴロしてとても動けたものではありませんし、
あの美しいドレープはでないのです。



彦根屏風 部分 寛永期

KOSDOEは洗濯機で洗えることを念頭においてますので、
ある程度の強度も必要と考えてますが、
できるだけ打ち込みが甘く(糸の密度がない)生地を採用しています。

理想は、コシがあって薄い生地です。



変わり織木綿 野蚕シルク 富士絹 など

現代人が思う着物への感覚や常識は
結構 勘違いが多いと 少しでも気が付いて、いただけでしょうか?

なぜ 勘違いを生んだのか?

色々原因はありますが、その一つとしては、
テレビや映画などドラマでの刷り込みが
少なからず影響を与えていると思われます。

歴史をわかりやすく説明する映像の力は大きい。
しかし、間違って伝えてしまうと
その刷り込みの縛りから逃れるのも難しいのは確かです



実際の幕末の町娘

時代考証への姿勢は、
番組や映画によってかなり差はあるものの
その正確な再現は、予算や手間を考えるとほぼ不可能です。

とはいえ、
TVや映画のようなキッチリした着付けでは、
毎日の家事労働でさえ、できません。

生きていた着物

和みの服と書いて「和服」とも言われる着物は
本来は楽なもののです。
決して堅苦しいものではありません。


現代着物の寸法でも、着方を本来のものに戻せば
楽に着れない事は、ありません。

ただ、KOSODEやそれに付随したカルサン袴などは、
メンテを含めて、現代の生活様式に合う進化工夫をしておりますので、
是非 お試しください。



なお、現在はKOSODEは、
自然の力と調和した
植物で染めたものを中心としています。

仕様目的や予算など
ユーザーのご希望に沿うように対応していますので
お気楽にご相談ください。

問い合わせフォーム
このページに関するご意見・ご質問も承ります。

KOSODE
カルサン袴
写されていた証
home