お犬の方 (?〜1582) 細川昭元夫人 龍安寺所蔵

信長の妹 お市の方の姉(妹という説もあり)

戦国の姫には、政略結婚が宿命づけられています。
ある時は敵との同盟の為。ある時は家臣団の謀反防止の為。
さらには、恭順を示す人質としても。

彼女は、前夫が戦で討死にした後、室町幕府管領家の当主に再嫁します。
家柄は高いが、力では織田家の方が上。

まさに下剋上の世。
しかし、その兄が本能寺の変で倒れた3か月後、彼女は短い人生を終えてしまいます。
兄の死と彼女の死が、関係したか否かはわかりません。

肩裾の片身替わり(段をずらしている)打掛をゆったりと羽織っています。
打掛は、デザインは基本的に小袖と同じだが、帯をしめず羽織るだけの着物。
それだけに豪華な縫箔を施しても問題ありません。


肩裾小袖

もっとも、この時代の帯は細く、ゆっくりと締めているし、
肩裾なら胴部分には模様がないので、小袖としても着れたと思われます。

しかし、今の常識に照らすと驚くべき事があります。
彼女の足のあたりをよく見て下さい。
合掌した片肘が立てた片膝にあたる片膝立て座りに見えませんか?



この座り方をTVの時代劇で女優さんがやったりすると、細川家の正室なのに・・
「なんと下品!」
と抗議の電話が殺到するかもしれませんね。

でも、それが事実なのです。

室町時代に完成した能楽を見てもそれはわかります。

   

日本人が、両膝をそろえた正座をするようになったのは、
彼女が生きていた時代より、まだ100年余り先の話になります。

小袖絵巻